AnyPayに直撃!「ICOコンサルティングを通して何を目指しますか?」

AnyPayがICOコンサルティングをはじめる、というニュースを目にした時、なるほど AnyPayか、と頷かれた方も多かったのではないだろうか。

FinTech企業としてのイメージの強い同社の新事業が”ICOコンサルティング”であったことは、日本企業におけるICO関連事業の新しい兆しが見えた瞬間であっただろう。とはいえ一方で、ICOコンサルティングとはいったい何をするのだろうか、そう思った方も多かっただろう。

今回ICO NEWSでは、AnyPayがICOコンサルティングを行なう理由について、AnyPay株式会社COOの大野紗和子氏、ICO事業推進担当の山田悠太郎氏に話を伺ってきた。

・読了目安:5分
・この記事でわかること:AnyPayが行なうICOコンサルティングの具体的内容と対象企業

AnyPayはFinTech企業として個人をエンパワーしていく

-まずAnyPayの事業内容について教えてください。

大野:当社は2016年6月に創業した会社で、同年9月に「AnyPay」という決済プラットフォームの提供を開始しました。こちらは、スモールビジネスの方でも簡単に決済を行なうページが作成でき、SNSやEmailで決済リンクをシェアすることで決済を手軽にできるプラットフォームになります。

2017年1月には、C t o Cのわりかんアプリ「paymo」をリリースしました。


(カメラ割りがなく流れるように展開しながら、テーブルクロス引きを披露するpaymoの紹介ビデオ。様々な場所でアプリが利用できることを表現しているそう。)

上記2つのサービスは、名称こそ異なっているものの、ビジネスとしてはつながっています。例えば飲み会の幹事がpaymoで集金をし、paymoの残高を利用してAnypayに出品された商品を購入する、といった 使い方が可能になっています。お金の流れがひとつになっており、ユーザーがC t o CやB t o Cを意識せずスマホ上で決済ができることを目指しています。

-それらサービスを通してAnyPay経済圏のようなものが生まれるのでしょうか?

大野:そうですね。弊社ではよく「エンパワー」をという言葉を使っています。受付に「Empower All Payments」という言葉を掲げているくらいです。スモールビジネスや個人を伸ばしていきたいという思想があり、それを達成するためにFinTech領域で事業を行っています。

より具体的には、決済圏を作りお金の動きをスムーズにしていくことを望んでいます。この個人をエンパワーするという思想が、今回のICOコンサルティング事業にもつながっています。

ICOコンサルティング事業を始めた経緯

-今までのフィンテック領域と比べても、ICOに関わる事業となると暗号通貨やブロックチェーンへの理解といった少し毛色の違う領域への理解が必要だとの印象を持ちます。なぜICOコンサルティング事業を始められたのですか?

大野:AnyPay代表の木村新司はFinTech全般に関心があり、DasCapitalという投資ファンドを運用しています。暗号通貨に関しては何年も前から関心があり、実際に暗号通貨領域のス タートアップへ投資を行っています。投資先には暗号通貨取引所などもあり、それらを通してネットワークや知識を有するに至りました。

※補足:木村社長は元GunosyのCEO。AnyPayCEOのほか、DasCapitalにおいて投資活動を行う。現 在までにGunosy, Wantedly, Coiney,Alpaca , Bitflyer, Medley, Freshtohome, Flierty,Justride などに投資を行っている。
DasCapitalの投資実績は下記参考。 LINK:資料

大野:(DasCapitalでの)投資先の要望として、資金調達手段のひとつとしてICOを検討したいという声がありました。私たちは投資先ネットワークや知見に加え、AnyPayの FinTech企業としてのノウハウ、更に、社外においては金融に強い弁護士のネットワークを有しています。

山田:株式市場を見た場合、取引所があったら証券会社があるべきなのですが、ICOマーケットでは、そのポジションが抜けているなと感じていました。当社は取引所と中間業としての証券会社というポジションを、暗号通貨の周りでも行えればと思い当事業の発表に至りました。

ICOコンサルティングの対象企業

-先日もALISがクラウドセールを行ったなど、国内でもICOが話題になっています。ICOコ ンサルティング事業は国内事業者向けのサービスという位置付けなのでしょうか?

大野:木村の投資先は国内外の会社がありますので、国内外問わず全ての事業者を対象にし ています。直近当社がICOコンサルティングサービスを開始している企業は海外企業ですが、日本の企業とも話をし始めた段階です。

-実際にICOコンサルティングを受ける会社はどの程度の規模の会社になるのでしょうか?

山田:木村の思想として、個人のエンパワーという概念がありますので、既に上場している企業より、スタートアップなどICOコンサルティングを通して資金調達に成功できるような企業規模から対象にしていきたいと考えています。

ボリュームゾーンとしては、サービスがある程度出来上がっている企業で、次のエクイティ調達のラウンド へ進むのか、それともICOを行なうのかという選択肢が取れるような規模の企業をイメージしています。

-その場合SeriesB以降といったイメージでしょうか。

大野:ええ、そうですね。ICOコンサルティングを受けるイメージとしては、ブロックチェーン技術とは関わりがないものの、既に多くのファンを抱えているようなサービスを有している企業がよいと思います。ICOでの資金調達で、より良いサービスへと改良をしたり、既存事業にブロックチェーン技術を組み込むことにより更に強いサービスへと変貌させるようなイメージを持っています。

具体的な支援内容

-ICOコンサルティング事業は具体的にどのような支援をされるのでしょうか?


(資料提供:AnyPay株式会社)

山田:(上記図を示して)タスクレベルでは、目的の定義から始まりスキームの決定、トークン(コイン)の実装から実際のプレセール、クラウドセール、ICO(トークン上場)を支援していきます。これらを通してAnyPayとしてはクライアントとなる企業が意思決定がで きるような判断材料を提供していきます。

具体的には、法律面でのスキームの確認や、過去の同業種でのICO調達額の参考値の提供なども行っていきます。クライアント企業には、ICOやクラウドセールを既存サービスとどう組み合わせることが望ましいか、それらによってどんな影響がでるのかについて助言をし、 その他ICOの基本的な部分においては全てAnyPayでカバーするというイメージです。

-セカンダリーマーケットはどのようなイメージでしょうか?

山田:トークン販売には2フェーズあります。1つ目はプレセール・クラウドセールです。これは各企業がそれぞれ LP(ランディングページ)を持ち、事前販売の位置付けで販売を行なうものです。2つ目はセカンダリーマーケットです。これは暗号通貨取引所にて当該トークンが取り扱われ、流動性が確保される状況を指します。
※セカンダリーマーケットと取引所上場(ICO)は同等との認識。

-現在ICOを行なう企業はブロックチェーン技術を有するスタートアップに偏っている印象がありますが、どのような企業にICOコンサルティングを提供していきたいと考えていますか?

大野:ブロックチェーン関連の企業もあれば、もちろんそうでない企業も対象としてきま す。サービス拡充などの為の資金調達という側面の他にも、ICOにはコミュニティ形成という側面があると考えており、トークンホルダー*がサービスのユーザーとなる為ブロックチェーン関連でない企業も対象にしていくつもりです。

*トークンホルダー:クラウドセールに参加しトークンを保有した人のこと。

山田:今までは技術ハードルの高さがあり、暗号通貨技術に詳しいメンバーがいる企業にしかICOを行なうことはできませんでした。それゆえ、ICOを行なう企業の多くがブロック チェーンに関わる技術やサービスを有するスタートアップに限定されていました。一方で今後は、直接暗号通貨技術と関係のない業界の企業も含めて支援していきたいと考えています。

-ICOコンサルティング事業の発表から1週間が経ちましたが問い合わせはどのくらい来ていますか?

大野:海外も含めて数十件お問い合わせが来ています。

山田:お問い合わせをいただいている企業の中には、ICOでの調達を考えていると仰るものの、実際にはエクイティ調達の次のラウンドに進むべきと思える企業もあるのは事実です。 お互いのニーズがある企業に対して今後の話をさせていただいております。

-ICOコンサルティングの1号案件と今後の展開は? 山田:現在は海外企業2社と調整をしており、年内にICOを行えるよう進めています。更に 国内外含め、他企業様とも打ち合わせを重ねている最中です。

また10月5日に「ICO Conference」を行います。その中で実際にICOコンサルティングを経てICOを行なう企業を発表・登壇いただく予定です。

ICOを取り巻く環境

-昨今のICO規制を見ていても今後トークン設計が重要になるとの認識を持っています。具体的には有価証券同等とみなされないトークンを発行してICOを行なう必要があるためです。この点についてどのように考えていますか?

大野:明らかな詐欺と思われるICO案件が多かった事実があります。発行トークンの流動性を確保する取引所への上場を目指すのであれば、ICO後にブロックチェーンを用いて既存サービスがどのように変貌し、そこにどういった関わりでトークンが機能するかという設計などを、きちんとICO時に伝えていくことが大切と考えています。

現状の規制を踏まえますと、有価証券と同等とみなされないトークンの発行が求められるのですが、今後規制されるとしても有価証券と同等のトークンを発行できる国*でクラウド セールを行っている例を目にします。

そこで我々がアドバイスしているのは、セカンダリー(2次流通)を持つようなトークンにするのであれば、各国の法律を遵守し、その上でサービストークンとして発行していくことが望ましいという部分です。

*現状問題ないとの認識で行っているICOの案件が複数存在する。
*サービストークン:何らかのサービスと引き換える権利を有する形で設計されたトークンのこと。それに対して配当型トークンはトークンホルダーに利益配当が行われる形で設計されたトークンで、こちらは現在アメリカ証券取引所SECが有価証券であるという認識を示している。

山田:まだ見解が発表されていない国もありますが、現在の規制状況を正しく理解する必要があるとの認識を持っています。トークン発行体の企業が登記されている国ではどうなのか、クラウドセールに参加する人の居住国ではどうなのか、など多国間の規制状況を理解していく必要があると考えています。

-有象無象のトークンが飛び交うICOマーケットは今後規制などにより少しずつクリーンな 方向に向かうのではないかと考えています。近い将来のICOマーケットについてどのような 展望をお持ちですか?

大野:今後数カ月が重要なタイミングになってくるとの認識です。具体的には規制などにより詐欺コインが減ってくるのか、ICOマーケットが盛り下がっていくのかなど状況を注意深く見守っています。

また自ら情報開示を行っていく重要性が増すとも認識しており、今後そうした開示を行って
いない企業へのクラウドセール参加者が減るなど、自然淘汰が行われていくと推測していま
す。

-今後ICOマーケットとそこに関わる人々にはどのような変化があるでしょうか?

山田:現状暗号通貨に詳しい方がクラウドセールに参加をしており、専門的な知識がないと、なかなか参入できない状態になっています。しかし、今後一般の方が入ってくるタイミングで、より浄化された形でのICOが行われるようになっている必要があると思っていま す。

-AnyPay自体でのICOの予定は有りますか?

山田:現時点ではありません。

-最後に、今後AnyPayがICOコンサルティングを行っていくにあたり、どのような会社に コンサルティングサービスを受けて欲しいと考え、また情報発信をしていきたいと思っているかお聞かせ下さい。

大野:既にやりたい事業やサービスが存在している企業様には、その発展の為にICOという手段がある ということを正しく伝えていきたいと考えています。またサービスを享受できるトークンホルダーとなる人が国をまたいで広がっていくようなプラットフォームやサービスを提供している企業はICOの相性が良いのではと考えています。

今まであまり例がないですが、リアルのビジネスとICOとの組み合わせも有りうると考えており、例えば海外ではシェアオフィスを提供する企業がICOを行なうなどシェアリングエコノミー×ICOという組み合わせも可能性があると考えています。

またスポーツチームなど、ファンの獲得とそのコミュニティが存在する一般の企業と少し趣が異なるような企業とも一緒にICOを目指していければと考えています。

-お答えいただきありがとうございました。

まとめ

ICOを行いたい企業の技術サイドを含む障壁となりそうな側面を全てカバーするかのような、骨太なコンサルティングサービスであることが理解して頂けたのではないだろうか。

コンサルティングということで、かなりハンズ・オン型となる。ICOコンサルティングを受けられる会社の上限が限られる可能性があるものの、今まで暗号通貨と直接関係がなかった スタートアップがICOという調達方法を活用できる選択肢が増えることを考えると、とても意義がある。

しかしながら、有価証券に該当しない*トークンの設計や既存株主への説明など、突然現れたこのICOという波が正しく理解されていない現状を踏まえると、まだまだICOはハードルが高い印象も拭えない。実際にICOコンサルティングを受けてICOに挑戦する企業が、どういった企業でどのようなサービスを有し、ICOでの調達を経てどのようなサービスへと変貌 していくのか、注意深く見守りたい。

*各国の金融当局の判断によって解釈が異なる部分。

※記事内での発言は全て当記事公開時点における解釈です。今後新しい見解が示される・法
規制が行われる等により変更が生じる可能性がございます。

(記事、インタビュー:ICO NEWS 鈴木)

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鈴木雄大
ICO NEWS編集長 ICOに強い関心を持つが日本語で情報を発信するメディアサイトが無かった為、国内初となるICOに特化したメディアサイトとして当サイトを立ち上げる。 ICO/クラウドセールにより創り出されるICOマーケットがより健全な形に変貌し、グローバル展開を志すスタートアップ企業の資金調達手段の拡大に繋がることを強く願い、日々取材・情報発信を行っている。